top of page

届けたい気持ちがある(しかし推しすぎは良くないだろう)




20代前半の頃でした。

垢抜けずセンスもなく、でも自分の何かが変なことは理解できている…

そんな時に出逢った、洋服のセレクトショップがありました。


⁡「a.arm神戸」というお店です。


作家ものとインポートを取り扱い、インナーやタイツまで試着させてくれるお店です。

そこでの初めての買い物、トータル10万円以上。

就職して間もない私には、恐ろしい大金でした。


たかが洋服に?消耗品やで?

そうは思うものの、抗えない何かを感じながら

震える手でクレジットカードを差し出したあの日。


これが正解なのか後悔になるのかが見えないまま

紙袋いっぱいの洋服を抱え、心細い気持ちで帰りの電車に乗ったのでした。


それから間もなく「正解だった」と思えたのは


・自分を肯定する感覚

・選び取る喜び

・新しい景色を見た実感


が、一気に得られたからでした。


単なる買い物ではなく「人生が開く決断」をした確信を持てたのです。

その経験がなければ、夫の器のことも「単なる高いもの」と思い込み、


「もっと安いものでいいんだよ、お金は少しでも貯めないと!」


と、いつの間にか刷り込まれた自分を握りしめながら生きていたと思います。


「心から気に入ったものを、ずっと大切にしていく」


新たな価値観と共に、そこへ通い続けました。


作家ものの洋服を身につけ、その細部まで目を凝らし

作家の拘りを見付けるワクワクと喜び。

それらが、その数年後に知る夫の器の、裏側までもの美しさに気付かせてくれました。


あのセレクトショップとの出逢いがなければ、今の私はなかったと思っています。


器に関しても同じで、決断することに勇気は必要です。

でも、その一歩を乗り越えた先に確かに得られるものや

新しい景色の広がりがあると思うのです。


あの幸せ感、

自分を肯定できる喜び、

決断できた自分を讃えたくなる気持ち、

日々の彩り。


そんな喜びのきっかけになれたらいいな、なんて思いながら、接客してしまいます。

器の良さを知ってもらいたいのはもちろん、


“器を通して幸せな気持ちになってもらいたい”


とてもシンプルな、そんな思いです。


器は、幸せな気持ちで買うものだけど、しんどい時、寂しい時にもそばにいてくれます。

何気ない日には、変わらぬ佇まいで。

その日の自分に、そっと寄り添ってくれるもの。


この秋に、夫は指を負傷しました。

今回の個展「白灯」は、以前の夫とこれからの夫の分岐点。

水曜日までの会期になります。

コメント


​ 森 ト 庭 ト

 -utsuwa kobako-

      


Matsuzawa,Kato-shi,Hyogo
 

utuwakobako@gmail.com

​陶芸家・竹口要(たけぐちかなめ)の公式サイト。兵庫県の工房「森ト庭ト-utsuwakobako-」より、器のある静かな暮らしをお届けします。

  • Instagramの - 灰色の円
  • Facebookの - 灰色の円
  • Instagramの - 灰色の円
  • Twitterの - 灰色の円

© 2018  森ト庭ト

bottom of page