
竹 口 要
1992年 滋賀県立信楽窯業試験場 素地焼成科修了
1993年 同 ・釉薬科修了
1994年 同 ・小物ロクロ科修了
岸本謙仁先生に4年間師事
1998年 ㈱羅工房入社
(陶磁器の制作・デザインに携わる)
2004年 滋賀県甲賀市にて独立
2014年 工房を「ことうヘムスロイド村」に増設
2023年 兵庫県に自宅と工房を移す

静けさのなかの強さ
──余白にひそむ、芯のある美しさ
静かで、つよい器。
竹口要の器には、派手さはありません。
けれど、毎日手に取るほどに、じわじわと惹かれていく。
手にしたときの安定感。
釉薬の奥に感じる、時間の重み。
使うほどに気づく「美しさ」と「ととのい」が、そこにあります。
竹 口 要 のこと
──揺るがぬ手が編む、日常のかたち
陶芸家・竹口要は、
兵庫県の小さな別荘地にある工房で
一つずつ丁寧に器を作っています。
手作りでありながら、仕上げには一切の妥協がありません。
「味」とされる歪みをつくらず、
整った美しさを信じて真摯に土と向き合う──
それが竹口要の姿勢です。
控えめな人柄を映すように、器には静かな強さと気品がにじみます。
道具でありながら、暮らしの風景にひとつの品格を生む器。
そんな佇まいを届けたくて、この場所をつくりました。

器のこと
──手にふれる日々の静けさ
器は、毎日手に触れる道具です。
だからこそ、手に持ったときのなじみの良さ、
口に運んだときの心地よさを大切にしています。
土は、信楽でつくられるものをもとに独自に調合。
ぎゅっと焼き締まることで、見た目の繊細さに反して
欠けにくい仕上がりになります。
表面は、凹凸を残さず、滑らかに仕上げています。
けれど、じつは粗めの土を使っています。
土の粒子感が、ほんのりと手に伝わり、
見えないところで、あたたかみを添えてくれます。

象牙色
──清らかに、暮らしに溶け込む
やわらかな白に、淡くやさしいゆらぎの気配をまとった器。
それは、“打ち寄せた波が引いた一瞬”をあらわしています。
凛とした静けさをたたえ、
日々の暮らしにそっと寄り添う象牙色。
釉薬を工夫し、貫入やシミが出にくいように仕上げました。
使い始めからの清らかな佇まいが続き、時を穏やかに重ねていく存在です。

砂金色
──静かな光と時を纏い、深く艶めく
ほんのり金色を帯びた、落ち着きと気配をにじませた器。
使い込むほどに艶を増し、やがて陰影をやさしく宿していきます。
暮らしの中で手に触れながら、ゆっくりと育ちゆくその風合いは、時を重ねるほどに、余韻とぬくもりを深めていきます。

白練(はくれん)
──光をふくみ、穏やかに時を映す
人の手で練り上げた白の品格(白練り)と、自然が宿す無垢(白蓮)。
その二つに込められた美を重ね、「白練(はくれん)」と名付けました。
光によって表情を変え、透明感とまっすぐな艶めきを放ちます。
日々の景色にそっと溶け込み、刻まれる時と澄んだ余白を、
静かに映す器です。
色のうつろいを楽しむ
──記憶をまとう静寂(しじま)
変わらぬ静けさ、
時とともに育まれる ふくよかな風合い、
時を照らす たおやかな光。
三つの色が映すうつろいの美しさを、
日々の暮らしの中で たのしんでいただけますように。
そっと手になじみ、
心にやわらかな間(ま)をつくるような器たちです。